会社から、テレワークを命じられました。1日10時間は働いているのに、事業場外みなしだからといって、8時間分の賃金しか支給されていません。これは仕方が無いのでしょうか。

2021/5/31

事業場外労働のみなし労働時間制(労働基準法38条の2)の適用は厳格に判断され、簡単に認められるものではありません。

事業場外労働みなし労働時間制は、労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事し、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間など一定時間労働したものとみなす制度ですが、この「労働時間を算定し難いとき」という要件は厳格に解されています。情報通信技術が発達した現代においては、携帯電話やインターネットにおいて、事業場外における労働者の勤務状況を把握することは容易だからです。特に、テレワーク(在宅勤務)については、ICT等を利用しながら仕事をするため、労働時間の算定は容易です。なお、厚労省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(2021年)は、①情報通信機器が使用者の指示により常時通信可能な状態に置くこととされておらず、②在宅業務が随時使用者の具体的な指示に基づいて行われるものではない、という要件を全て満たす場合にだけ事業場外労働みなし労働時間制が適用されるとしています。そして、「勤務時間中に、労働者が自分の意思で通信回線自体を切断することができる場合」等においては、①の要件が認められるとしています。しかし、これは誤解を生じさせるもので適当ではありません。客観的・物理的に労働時間を算定することが可能な働き方においては、そのような取扱い等を理由に事業場外みなし労働時間制の適用をすることはできません。