当面の生活費や住居費が用意できなくて困っています。どうしたらよいでしょうか。

2020/4/25

(1)特別定額給付金

2020年5月1日から1人につき一律10万円の特別定額給付金の支給が始まりました。

給付対象者は、2020(令和2)年4月27日に、住民基本台帳に記録されている人全員です。受給権者は、その人の属する世帯の世帯主となります。郵送やオンラインでの申請が可能となります。受付及び給付開始日については、お住いの市区町村にご確認ください。(2020年4月21日現在)

※ 4月27日の基準日に住民基本台帳に登録されていない外国人のうち、帰国困難な状態に置かれている(元)技能実習生、(元)留学生、また、難民申請者の子どもについても、特別定額給付対象とするとの発表がありました。技能実習生や留学生で「短期滞在」や「特定活動(3ヶ月)」の在留資格の方は、「特定活動(6ヶ月)」への在留資格変更許可申請を行い、住民基本台帳への登録が必要となります(5月19日付・総務省事務連絡)。

(2)生活福祉資金貸付制度

各都道府県社会福祉協議会では生活に必要な資金貸付を行う生活福祉資金貸付制度を実施しており、新型コロナの影響を踏まえて、貸付の対象世帯を低所得世帯以外に拡大するなど、緊急小口資金等の特例貸付を実施しています。

新型コロナの影響を受け、休業等により収入減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のために貸付を必要とする世帯に対しては、学校等の休業、個人事業主等の特例の場合20万円、その他の場合10万円を上限として貸付を実施しています(緊急小口資金)。

また、新型コロナの影響を受け、収入減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯に対しては、単身月15万円、2人以上月20万円を上限に貸付を実施しています(総合支援資金)。

いずれも無利子で保証人も不要です。制度の詳細は地元の社会福祉協議会にお問い合わせ下さい。

 

(3)公共料金(水道料金・下水道使用料等、電気料金、ガス料金、電話料金、NHK受信料)の支払猶予

ア 政府からの支払猶予の要請

2020年3月18日、新型コロナウイルス感染症対策本部で、電気料金等の公共料金(上水道・下水道、NHK、電気、ガス及び固定電話・携帯電話の使用料)の支払いが困難な事情がある者に対しては、その置かれた状況に配慮し、支払い猶予等、迅速かつ柔軟に対応するよう要請がされました。

イ 水道料金・下水道使用料等

① 水道料金

厚生労働省から水道事業者に対して、「各水道事業者におかれましては、「生活困窮者自立支援制度担当部局との連絡・連携体制の構築等について」(平成31年3月29日付薬生水発0329第1号。厚生労働省医薬・生活衛生局水道課長通知)等に基づき、生活困窮者に対して料金未払いによる機械的な給水停止を回避する等の柔軟な対応をしていただいているものと認識しております。つきましては、各水道事業者におかれましては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金・総合支援資金の特例貸付の貸付対象者をはじめ、一時的に水道料金の支払に困難を来している者を対象として、上記貸付対象者であることの確認や必要に応じて戸別訪問等を実施することにより、その置かれた状況に配慮した支払い猶予等の対応や料金未払いによる機械的な給水停止の回避等、柔軟な措置の実施を検討いただきますようお願いいたします。」と要請がされています(薬生水発 0318 第1号・令和2年3月18 日)。

実際、例えば、東京都の水道局では、支払猶予の対象者を「今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、新型コロナウイルスの影響により収入が減少している場合など、一時的に水道料金・下水道料金のお支払いが困難になった方 ※個人、法人の全てのお客さまが対象」とした上で、支払猶予の期間について、「お客さまから、以下のお客さまセンターへ電話で申し出をいただき、その日から最長で4か月、お支払いを猶予します。 ※この猶予期間後も、支払いについての御相談に応じます。」としています。

https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/saigai/1007261/1007503.html 2020年3月19日更新時点)

このように、水道料金が支払えない場合であっても、支払猶予がされる可能性がありますので、支払先の水道事業者に相談してみましょう。

② 下水道使用料

国土交通省から下水道管理者に対して、「各下水道管理者におかれましては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金・総合支援資金の特例貸付の貸付対象者をはじめ、一時的に下水道使用料の支払に困難を来している下水道使用者を対象として、地域の実情に応じ、福祉部局及び水道部局とも十分に連絡・連携しつつ、支払を猶予する等の柔軟な措置の実施を検討いただきますようお願いいたします。」と要請されています。

なお、東京都水道局については下水道使用料の対象者・支払猶予期間は上記水道料金と同様です。

このように、下水道使用料が支払えない場合であっても、支払猶予がされる可能性がありますので、支払先の水道管理者に相談してみましょう。

③ その他使用料

農業集落排水施設使用料、漁業集落排水施設使用料、浄化槽使用料についても支払猶予についての要請が行政からありますので、支払先へ相談をしてみましょう(元農振第3433号・令和2年3月18日、元水港第2326号・令和2年3月18日、環循適発第20031854号・令和2年3月18日)

④ 条例の定めがない場合

2020年3月19日、総務省から各都道府県などに対する要請では、「当該公共料金に係る条例等に規定が無い場合において、当該支払猶予については、別紙のとおり、水道、公共下水道以外の下水道及びガスの料金については地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第171条の6第1項第3号の規定に基づき、公共下水道の使用料については地方自治法第231条の3第3項の規定に基づき地方税法の滞納処分の例により、行うことができることに留意下さい。」とされているように(総財公第72号・令和2年3月19日)、支払猶予に関する規定が各地方公共団体の条例にない場合でも、支払猶予がされる可能性があります。

条例がないから対応できないと言われた場合には、上記要請を指摘して支払猶予を求めてみましょう。

ウ 電気料金

2020年3月19日、経済産業省は、小売電気事業者に対して、「生活不安に対応するための緊急措置」(令和2年3月18日 新型コロナウイルス感染症対策本部)を踏まえ、支払いの猶予等、迅速かつ柔軟な対応を要請しました(「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、電気料金の支払いなど生活に不安を感じておられる皆様へ」)

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200319008/20200319008.html】。

対象者について、上記要請は、「新型コロナウイルス感染拡大の影響により、緊急小口資金又は総合支援資金の貸付を受けた者であって、一時的に電気料金の支払いに困難を来している者」としています。

支払猶予の期間について、上記要請は、「託送供給約款及び特定小売供給約款等に定める支払期日について、電気の使用者の申出により、その状況に応じて柔軟に設定する特例措置を講ずる。本特例措置により、託送供給等約款等に定める支払期日を1ヶ月繰り延べ、その後においても、電気の使用者の状況に応じて柔軟な対応を実施。」としています。

電気供給停止に関して、上記要請は、「電気の使用者の料金の支払い遅延による電気の供給の停止については、当該電気の使用者が置かれた状況に配慮し、柔軟に対応するよう、小売電気事業者に対し要請をしました。」としています。

このような要請がされておりますので、電気料金の支払いが困難になった場合には、契約をしている小売電気事業者に相談してみましょう。

エ ガス料金

2020年3月19日、経済産業省は、ガス事業者に対して、「生活不安に対応するための緊急措置」(令和2年3月18日 新型コロナウイルス感染症対策本部)を踏まえ、支払いの猶予等、迅速かつ柔軟な対応を要請しました(「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ガス料金の支払いなど生活に不安を感じておられる皆様へ」)

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200319007/20200319007.html】。

対象者について、上記要請は、「新型コロナウイルス感染拡大の影響により、緊急小口資金又は総合支援資金の貸付を受けた者であって、一時的にガス料金の支払いに困難を来している者」としています。

支払猶予期間について、上記要請は、「託送供給約款及び指定旧供給区域等小売供給約款に定める支払期日について、ガスの使用者の申出により、その状況に応じて柔軟に設定する特例措置を講ずる。本特例措置により、託送供給約款等に定める支払期日を1ヶ月繰り延べ、その後においても、ガスの使用者の状況に応じて柔軟な対応を実施。」としています。

ガス供給停止について、上記要請は、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けたガスの使用者の料金の支払い遅延によるガスの供給の停止については、当該ガスの使用者が置かれた状況に配慮し、柔軟に対応するよう、ガス小売事業者に対し要請をいたしました」としています。

このような要請がされておりますので、ガス料金の支払いが困難になった場合には、契約をしているガス小売事業者に相談してみましょう。

オ 電話料金

NTTグループ、KDDI(au)、ソフトバンクは、電話料金について支払猶予の措置をしています。

NTTグループでは、支払期限が2020年2月末日以降となっている料金について、申し出があった場合、2020年5月末日までお支払い期限を延長すると発表しています。

https://www.ntt.co.jp/news2020/2003/200319a.html 2020年3月19日時点)。

KDDI(au)では、支払期限が2020年2月25日以降となっている料金について、申し出があった場合に、2020年5月末日までお支払い期限を延長

すると発表しています。

https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/03/19/4339.html 2020年3月19日時点)

ソフトバンクでは、支払期限が2020年2月末日以降の料金について、申し出があった場合、2020年5月末日まで支払期限を延長すると発表しています。

https://www.softbank.jp/corp/news/info/2020/20200319_01/ 2020年3月19日時点)

また、NTTグループ・KDDI・ソフトバンクは、新型コロナの感染状況などによっては、さらなる支払い期限の延長もあり得ると発表しています。

このように支払猶予の措置がありますので、支払猶予を受けられるかについて、契約をしている業者へ相談をしてみましょう。

カ NHK受信料

NHKは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により影響を受けた者について受信料のお支払いに関する相談を受ける専用窓口を設けています

https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/corona_jushinryo.html 2020年3月25日時点)。

受信料の支払いが困難な場合には、NHKの専用窓口へ相談してみましょう。

(4)住居確保給付金

ア 支給対象の拡大

「生活困窮者住居確保給付金」は、家賃を補助するための給付金です(生活困窮者自立支援法3条3項)。住居確保給付金と呼ばれることもあります。

住居確保給付金は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を契機に、2020年4月20日から適用対象を拡大し(生活困窮者自立支援法施行規則3条及び10条の改正)、「事業を行う個人が当該事業を廃止した場合」(生活困窮者自立支援法3条3項、同規則3条1号)のみならず、「就業している個人の給与その他の業務上の収入を得る機会が当該個人の責めに帰すべき理由又は当該個人の都合によらないで減少し、当該個人の就労の状況が離職又は前号の場合と同等程度の状況にある場合」(生活困窮者自立支援法3条3項、同規則3条2号)にまで拡大しました。

なお、住居確保給付金は、フリーランスも利用可能です。

イ 支給要件

住居確保給付金の支給要件を列挙すると以下の8つになります。

ⅰ 離職等により経済的に困窮し、住居喪失者又は住居喪失のおそれのある者であること

ⅱ イ)申請日において、離職、廃業の日から2年以内であること又は ロ)就業している個人の給与その他の業務上の収入を得る機会が当該個人の責めに帰すべき理由、都合によらないで減少し、当該個人の就労の状況が離職又は廃業の場合と同等程度の状況にあること

ⅲ 離職等の日に、その属する世帯の生計を主として維持していたこと

ⅳ 申請日の属する月における、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者の収入の合計額が、基準額に申請者の居住する賃貸住宅の家賃額を合算した額(収入基準額)以下であること[収入要件]

ⅴ 申請日における、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者の所有する金融資産の合計額が基準額×6(ただし、100 万円を超えないものとする。)以下であること[資産要件]

ⅵ 誠実かつ熱心に求職活動を行うこと 【⇒4月30日の省令改正により公共職業安定所への求職の申込みが当分の間不要となりました。】

ⅶ 国の雇用施策による給付(職業訓練受講給付金)又は自治体等が実施する離職者等 に対する住居の確保を目的とした類似の給付等を、申請者及び申請者と同一の世帯 に属する者が受けていないこと

ⅷ 申請者及び申請者と同一の世帯に属する者のいずれもが暴力団員による不当な行為 の防止等に関する法律(平成3年法律第 77 号)第2条第6号に規定する暴力団員 (以下「暴力団員」という。)でないこと

上記の収入要件、資産要件の金額は地方公共団体によって異なりますので、実際の金額や申請必要書類などはお住いの市町村に確認して下さい。一例として、小田原市のULRを以下に掲載しますが、お住いの市町村の住宅確保給付金のページも必ずご確認下さい。また、今後、支給要件が更に緩和されるという報道もありますので、最新の情報を確認してください。

http://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/welfare/self-support/p29378.html 2020年4月20日時点)

ウ 支給額・期間

支給額には上限があり、上限は地方公共団体によって異なります。

支給期間は、原則として3か月間、延長が認められた場合には最長で9か月間です(生活困窮者自立支援法6条2項、同規則12条1項)。

なお、給付金は、行政から賃貸人へ支払われることになりますので申請人に直接支給されるわけではありません(同規則17条)。

エ 相談先

より詳細な内容については、お住いの市町村のホームページなどで相談窓口を確認して、相談してみましょう。