私は、地方公務員(一般職)ですが、新型コロナに感染する危険が高い職務を行っており、新型コロナに感染してしまいました。公務災害として認められることはあるのでしょうか。

2020/6/9

(ア)認定範囲の拡大

新型コロナへの感染が公務災害として認められるには、公務と新型コロナとの間に公務によって新型コロナに感染したという公務起因性が必要となります。新型コロナに関しては、地方公務員災害補償法施行規則1条の2、同別表第1第6号の1又は5に該当すれば、公務起因性が認められることになりますが、地方公務員災害補償基金は、当分の間、「1から4までに掲げるもののほか、細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に従事したため生じたことの明らかな疾病」(同別表第1第6号の5)の運用について、「調査により感染経路が特定されなくとも、公務により感染した蓋然性が高く、公務に起因したものと認められる場合には、これに該当するものとして、公務上の災害として取り扱うこと。」と柔軟な対応を取ることになりました(地基補第145号・令和2年5月1日)。

(イ)具体的な取り扱い

以下では、地方公務員災害補償基金が具体的にどのように判断するのかについて、同基金が出している通知(地基補第145号・令和2年5月1日)を紹介します。

「(1)国内の場合

ア 医療従事者等

患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原 体を取り扱う業務に従事する医師、看護師、介護従事者、救急隊員等が新型 コロナウイルスに感染した場合には、公務外で感染したことが明らかである 場合を除き、原則として公務上の災害となること。

イ 医療従事者等以外の職員であって感染経路が特定されたもの

感染源が公務に内在していたことが明らかに認められる場合には、公務上 の災害となること。

ウ 医療従事者等以外の職員であって上記イ以外のもの

調査により感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的 に高いと考えられる次のような環境下での公務に従事していた職員が感染し たときには、公務により感染した蓋然性が高く、公務に起因したものと認め られるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること。

この際、新型コロナウイルスの潜伏期間内の公務従事状況、一般生活状況 等を調査した上で、医学専門家の意見も踏まえて判断すること。

(ア)複数(請求者を含む)の感染者が確認された環境下での公務

(イ)住民等との近接や接触の機会が多い環境下での公務

(2)国外の場合

海外出張職員については、出張先国が多数の本感染症の発生国であるとして、 明らかに高い感染リスクを有すると客観的に認められる場合には、出張業務に 内在する危険が具現化したものか否かを、個々の事案に即して判断すること。 海外派遣職員については、国内の職員に準じて判断すること。」