新型コロナの影響で、有期派遣労働契約を期間満了で終了すると言われました。このまま職を失ってしまうのでしょうか。
2020/4/14
有期の派遣労働契約の場合、仮に同じ派遣先での就労で派遣労働契約を反復更新していたとしても、労働契約法19条の雇止め濫用法理が適用されて雇用が維持されるかというと、現在の裁判所の判断では厳しいものがあります。しかし、派遣労働者や労働組合としては、新型コロナの影響があるというだけで「派遣切り」が許されていいということにはならないので、雇用調整助成金等の制度を利用しながら雇用をつなぐように粘り強く交渉していきましょう。
「特定有期雇用派遣労働者等」に該当する派遣労働者に対しては、派遣元事業主は「雇用安定措置」を取るべき努力義務や措置義務がありますので(労働者派遣法30条1項各号ないし2項、派遣規則25条等)、それを利用して交渉しましょう。
㋐特定有期雇用派遣労働者とは、「同一の組織単位の業務に1年以上派遣される見込みがあり、派遣終了後も継続就業を希望している者」をいい、㋑派遣元事業主での雇用通算期間が1年以上の有期雇用派遣労働者(登録状態にある者も含まれる)も㋐と合わせて「特定有期雇用派遣労働者等」といいます。
派遣元事業主は、㋐の特定有期雇用派遣労働者に対して、次の4つの雇用安定措置を取るべき努力義務が課せられています(労働者派遣法30条1項各号)。すなわち、①派遣先に対する直接雇用の依頼(1号)、①を求めても直接雇用されない場合でも、②新たな派遣先の提供(2号)、③派遣元事業主での直接無期雇用(3号)、その他の雇用安定を図るため必要な措置(4号)(例えば、新たな就業の機会を提供できるまでの有給の教育訓練や紹介予定派遣(職業紹介事業者の場合)等)を求めることができます。
そして、上記㋑の派遣労働者に対しては、派遣元事業主は雇用安定措置のうち①・③・④の措置を取るべき努力義務があります。
さらに、㋐の特定有期雇用派遣労働者の中で、「同一の組織単位の業務について3年間従事する見込みがある者」については、上記4つの雇用安定措置を講じるべき措置義務があります(労働者派遣法30条2項、派遣規則25条の2第2項)。
また、派遣先にも、「同一の組織単位の業務に同一の派遣労働者を1年以上受け入れたときは、」派遣期間経過後も同一の業務のために労働者を雇用するときは、当該派遣労働者を遅滞なく雇用する努力義務があり(労働者派遣法40条の4)、その事業所で通常の労働者(正社員)を募集するときは、それを当該派遣労働者に周知しなければなりません(同法40条の5第1項)。
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