採用内定を得ていた会社から、今回の新型コロナの影響により事業縮小となったとの理由で、内定を取り消すと連絡がありました。何か対応できないものでしょうか。
2020/4/14
採用内定によって労働契約が成立しているため、会社は自由に内定を取り消せるわけではありません。内定の取消しは、通常の解雇同様、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められなければ無効です(労働契約法16条)。解雇については、「5 解雇・雇止め」を参照して下さい。
新型コロナによる影響とはいえ、事業の縮小を理由とする内定取消し(解雇)ですから、いわゆる整理解雇と同様の要件によって、その有効性が判断されます。具体的には、現在の会社の経営上、内定取消しをしなければならない必要性があること、使用者が内定取消しを回避する努力を行ったこと、内定取消対象者の人選が適正であること、対象者と誠意をもって協議したこと、です。
例えば、事業縮小だけを理由にした内定取消しは、他の要件を満たさない限り、無効となるものと考えられます。
また、内定取消回避の努力としては、行政や金融機関が提供している雇用維持のための支援策を利用しているか否か、雇用調整助成金の受給を検討したか否か、といった点も問題になります。
今回は、政府が主要経済団体に対し、新卒の採用内定者について「特段の配慮」を要請しています(内閣官房内閣審議官、文部科学省高等教育局長、厚生労働省人材開発統括官、経済産業省経済産業政策局長令和2年3月13日付け「新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた2020年度卒業・終了予定者等の就職・採用活動及び2019年度卒業・終了予定者等の内定者への特段の配慮に関する要請について」)。具体的には、採用内定取消を防止するため、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講じること、やむを得ない事情により採用内定取消又は採用・入職時期の延期を行う場合には、対象者の就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、対象者からの補償等の要求には誠意を持って対応することとされています。内定取消しを通告してきた会社には、かかる政府の通知も示して安易な内定取消をしないように求めていきましょう。
- 全国総会プレ企画のご案内 2025/9/11
- 労働基準法上の「労働者」に関する意見書を出しました 2025/9/8
- 労働弁護士になろう!2025あき 全国4ヶ所にて【10/8(水)】開催 2025/9/3
- 日本労働弁護団第69回全国総会のお知らせ 2025/9/3
- 労働者の権利361号(夏号)を発行しました 2025/9/2
- 労働判例命令研究会のご案内【次回は9/8(月)】 2025/9/1