業務に従事している間に新型コロナに感染した場合、何か補償がされるのでしょうか?

2020/6/9

業務中に発生(業務遂行性と業務起因性が必要)した災害については、いわゆる「労災」として扱われ、労働者災害補償保険法(以下、「労災保険法」といいます。)に基づき、一定の補償、例えば、医療費である療養費、休業した部分に相当する休業補償を受けることができます。なお、労災保険は国が管掌する強制保険なので(同法2条、労働保険の保険料の徴収等に関する法律3条)、「うちの会社では労災の制度は使えない」ということは、原則として通用しません。

ところで、労災保険法の適用を受け(新型コロナの場合、労働基準法施行規則35条、同法別表第1の2第6号)労災補償を受けるためには、労災申請が必要となります。また、労災事故(細菌やウイルスに感染したこと)が業務遂行中に発生したこととその業務に起因すると認められる必要があるので、通常は自身の感染経路を証明することが必要となり、時間と労力がかかりますが、次に述べるように新型コロナウイルス感染症の場合は厚生労働省から労災認定がされやすいように通達が出ています。ただし、労災の認定を受けるには時間がかかることもあり、速やかな補償を受けることができない場合もあります。

速やかな補償を受けることを目的とするのであれば、4日以上連続で業務に従事できなかった場合には、労災に当たらずとも「健康保険の傷病手当金」を受給することができます。ですから、まずは、傷病手当金を受給することを検討しましょう。ただし、国民健康保険については、傷病手当金は条例等による自治体の任意対応とされています。今回、新型コロナに感染した被用者に対する傷病手当金の支給に要した費用について、市町村等に対して国が特例的な財政支援を行うので検討されたいとの厚労省事務連絡(令和2年3月10日付「新型コロナウイルス感染症に感染した被用者に対する傷病手当金の支給等について」)が出されていますので、お住まいの自治体に問い合わせしてみましょう。

新型コロナに感染したことが労災認定されるかについては、Q3-2-2、Q3-2-3で具体的に説明します。